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包装の役割とイノベーション

デジタル印刷と包装の融合は、今とても注目されている分野です。国際包装産業界は、多次元的アプローチが必要だとして、①収穫から流通、流通から消費に至る食品ロスおよび廃棄を数量的に正確に把握すること。②農業段階における収穫および農産品加工への注力。③アクティブ・インテリジェント包装を含む17の技術プロジェクトの推進。④食べ残しや店舗の残り物をリユースの推進。①と④については、特に若い世代へのメッセージを発信することが重要であるということです。②は世界各国の事情があります。インドでは食料不足が深刻です。そのため、加工中心の工場やコールドチェーンの設備が進んでいます。ケニアはマンゴーが特産品ですが、それを加工する設備や包装技術の不備のために、収穫したものの36%に相当する30万トンのマンゴーが廃棄されています。

大学発ベンチャーと包装新技術

現在、アマゾンなどの大手が調理済み食事メニューセット向けにMATS技術に対して大きな関心を寄せています。大手軟包装コンバーターの会社が技術の実施権者になったと伝えられています。

大学を起点として開発、実用化されつつある次世代包装技術ですが、日本食品機械工業会主催の国際食品工業展には、アカデミックプラザという展示コーナーが設けられたことがあります。

そこには63のブースによって国内及び海外の大学、研究機関からアカデミックな研究テーマがパネル展示されていいました。教授や研究員が常駐して情報を公開して、来場者との間で活発な交流が見受けられたといいます。

その中で、新潟大学の教授は、食品高圧加工、重曹、高圧併用処理を用いた食肉加工品の物性改善技術の開発を発表しました。高圧食品加工技術は、欧米で実用化が進められています。

包材の役割

野菜や果物が鮮度を保つためには、呼吸ができるよう酸素と二酸化炭素の交換がされなければなりません。遮断してしまうのではなく、適度な透過性が必要になります。

レトルト食品などは長期保存されるため、長期間酸素や菌から遮断できる機能を備えているうえ、そのまま熱湯に入れられるなど包材自体に耐熱の要素も組み込まれています。また医療用品や医薬品に関しても、私たちの健康に直接影響するものですので、食品と同様に保護性が最も重要視されています。

更に、包装されたモノを輸送など流通させる際は、輸送中などで起こる振動、積み下ろし等の衝撃などに対応できるよう耐摩耗性や衝撃強度なども必要になってきます。

精密機器に対しては特に緩衝材を使用したり電磁気を防ぐシールド性のある包材を使用するなど工夫されています。

スマホで欲しい商品を探す生活者

忙しい現代人は、スマホで欲しい商品を探すようになりました。包装は商品と一体化していないといけません。メーカーは商品と一体化した包装を家に持ち帰って欲しいと考えています。ネットワーク技術が生活者を店頭に向かわせて、生活者を実際の商品に誘導して欲しいと考えています。企業が活用しているモバイル・コミュニケーションには、無線標識、無線ICタグ、近距離無線通信が引き金になると言われています。包装紙に印刷されたQRやバーコード、包装の近くにあるこういった無線発信装置がつながれば、生活者は欲しい商品を見つけることができます。通信機器は、小さく安くなって、さらに多くのことが可能です。包装はネットワーク技術とともに進化していきます。スマホを商品のパッケージにかざせば、どこで販売されているか判るということも可能にします。

天然由来の包装の研究について

一口サイズのフローズン菓子などと同様、ジュース、スープ、チーズといった食品分野にも可食包装の技術は拡大できます。また、防災用として、飲料水をココナッツ殻で包む研究も進んでいます。これは様々な地域の好みの味覚に合わせることが可能と言われています。ここでポイントなのは、企業として、ココナッツ殻の包装を天然由来と宣伝していないところです。おそらく天然由来の意味をめぐる議論を避けるためだと言われています。たとえ天然物であっても、ココナッツ殻は加工されているという事実があります。この会社は、天然由来の代わりに高機能栄養素というフレーズを使っています。これはこの会社の製品を伝統的な治療用の栄養素と、治療食との違いを考えてのことだと言われています。可食包装は、生分解などと同様に大きなポテンシャルを持っているといえます。

キャンベルスープとレトルトパウチ

キャンベルスープはアメリカの食文化そのものと言っても過言ではありません。ニューヨーク近代美術館に収められたアンディ・ウォホールの「32個のキャンベル・スープ缶」はとても有名で、キャンベル・スープといえば、金属缶というイメージがあります。そのキャンベル・スープは、プラスチック製バリア容器や無菌充填の紙パックも採用していますが、新たにレトルトパウチを加えることになりました。スープカテゴリーは停滞気味でした。スープブランドは、キャンベルにとって象徴でもあります。低価格で勝負しても、それが収益を高めることにもならなかったといいまう。そこで、畜肉、鶏肉料理のスキレットソースにも手を広げ、一層際立った味覚を加えることにしましたと言います。それがレトルトパウチGo SoupとSkillet Sousesです。

充填包装機と充填方法について

充填方式には丈夫から落下させる方式と横や斜めから差し込む方式があります。差し込み方式の方は、固形物を機械的に入れていくということで、難しいわけではありません。

落下方式の方は、液体、粘体、固液混合物、粉体、顆粒体、固体バラといった多くの商品が対象となります。充填というのは、質量や容量を杯量して充填します。粉体、液体、粒粘体は容量です。

固体バラ物は重量です。顆粒体、固液混合物は両方で量ります。乾燥物の粉体、顆粒体などは常温で充填するので、微生物的にはあまり問題が起こりません。液体、粒粘体は多水分系なので、充填時の衛生管理と充填温度について、非常に注意が必要です。

あんこや羊羹、味噌などの粘性体は、一定容積を計量したあとに、押し出しながら落下充填します。このときに、液体類は泡が立たないように容器の一定ラインまで液面下充填をします。そのため、容積計量になります。

飲料の梱包、ペットの登場

今ではプラスチック製品の一種を「ペット」と呼ぶことに違和感を覚える人はいませんが、昭和期は動物のペットとしてしか意味しませんでした。

それほどこの数十年間で普及したということですが、ペットについて詳しくその歴史を語れる人は少ないでしょう。

また、ペットがどのような合成品であるのかを知っている人もあまりいないでしょう。ペットは正確には、「ポリエチレンテレフタレート」と呼ばれます。プラスチックの一種で、昔は飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂などと呼ばれていたようです。

合成繊維としても商品化されていたため、マイラー、テトロンの名で知っている人も中にはいらっしゃるでしょう。ペットボトルは登場後に間を置かず、ジュースの容器の定番にまで上り詰めてしまったのです。

包装材の衛生基準

包装材の衛生基準は材質ごとに分かれています。例えば、瓶、金属、ゴムといった具合です。瓶や陶磁器については、重金属の混入が検査の項目となります。瓶はガラスが主流ですが、紙、プラスチック、金属も併用されます。その場合は、材質ごとにチェックするのが決まりとなっています。ゴム製品については、ゴムの含有量が50%以上の製品を対象としてチェックされます。特に念入りに調べられるのが、哺乳瓶や玩具の類です。言うまでもありませんが、乳幼児が使用することを前提としているからです。  ところでプラスチックであれば衛生面の問題が無いように思われますが、具体的にどのような基準が設けられているのでしょうか。プラスチックは石油から造られていますが、実は種類が豊富に存在しています。合成品ですから、製造方法や性質が全く異なるプラスチックが流通しているのです。プラスチックはモノマーからポリマーに合成するのですが、その過程で多くの添加剤を加えることになります。その工程が不透明ですから、プラスチックには下位分類が設けられ、それぞれの種類ごとに検査されているのが実情です。  プラスチックの中でも、当然ながら食品の包装に関しては、より厳格に安全性が検査されることになります。レトルト食品やペットボトル、自販機用品等もプラスチックの範疇として、同様に検査されます。例えば飲料水は大量に摂取されますから、微生物の混入があれば、社会的に大きな影響を与えてしまいます。そこで、耐圧縮強度、減圧強度、落下強度、熱封減強度、ピンホール強度等の項目が設けられ、細かくチェックされることになります。

広がる商業用包装の一般消費食品への応用

一般の消費者には目に触れる機会が少ない商業用包装にもいろいろな技術が使われています。業務用となると、扱う単位となる量も多く、このような大量の液体や固液食品を無菌で長期保存できるようにするため、UHT(超高温殺菌法)やHTST(高温短時間殺菌法)やマイクロ波加熱、通電加熱等各種の殺菌技術が開発され実用に供されています。このような技術を使って一般消費者にも目にする各種食品が流通しています。身近なところではロングライフ牛乳に使用されているバックインカートンで使われている無菌充填包装。この技術は他に乳飲料やプリン、アイスクリーム等の包装にも応用されています。この無菌充填包装のキーワードとなるのが無菌室。殺菌された閉鎖系無菌室などで滅菌した包装容器に短時間充填することで細菌の混入も皆無に近くなるため常温化でも長期保存に耐えうる包装が可能となっています。包装形態もBIB(バックインボックス)、BIC(バックインコンテナ)、BID(バックインドラム)と用途に応じ使い分けられており、殺菌したバック状内装に注出入口を設け、大容量の液体食品出し入れ時にも無菌状態が維持できるよう工夫が施されています。このような技術は一般消費者向け食品にもその応用が広がっています。食品に混じる細菌を後で除去したり、影響となる外部因子を遮断するよりも最初から食品を無菌状態にして無菌包装していけば常温下での長期保存も可能となる、という事を示してくれるよい事例と言っていいのかもしれません。