鮮度保持包装材料の今

青果物に一般的に使用されるポリエチレン(PE) やポリプロピレン(PP) などのポリオレフィンの水に対する濡れ性は悪く、水が付着すると水滴を形成するため、青果物の水分蒸散によって生ずる水により、フィルム表面に曇りが発生しないようにする必要が出てきます。

鮮度保持包装材料として、青果物の水分蒸散作用によって生ずる水が包材フィルム表面に付着して水滴を形成すると、外観が悪くなって商品性が低下するだけでなく、微生物の生育・繁殖の要因となり青果物の腐敗につながります。

目次

1、鮮度保持包装材料の今
2、防曇性の付与方法
3、パーシャルシール包装など
4、追熟を抑制する包材
5、鮮度を保持する包材
6、需要が高まるリサイクル性と抗菌効果

防曇性の付与方法

プラスチックフィルムに防曇性を付与する方法として、界面活性剤塗布、表面滑性化処理、親水性添加剤の練込み、表面粗面加工などの方法が考えられます。

界面活性剤塗布の方法は最も簡便な方法ですが、塗布された防曇剤が溶解、脱落して長時間にわたり安定した防曇性を維持することは困難です。

火炎処理などによる表面滑性化処理により、フィルムの表面張力をある程度高くすることはできますが、防曇性を得るには不十分です。

また、表面粗面加工の方法は透明性や光沢が失われるため、外観上の問題が生じ、現在最も実用化されている方法は、界面活性剤をフィルムに練込む方法があります。

防曇フィルムによる包装は、ニラ、ネギ、ピーマン、生シイタケ、キュウリ、大葉、ナスなどの生鮮野菜、イチゴやブドウなどの果物類に広く適用されています。

パーシャルシール包装など

鮮度保持包装として、MA包材を使用せず、従来の包装フィルムを使用して、包装する現場で青果物の呼吸量にあわせた微細孔をシール技術で作成する技術が開発され、実用化されるようになりました。

この技術は、パーシャルシール包装と呼ばれ、青果物をフィルムで連続して包装するときに使われる横型ピロー包装機のセンターシールローラーの表面形状を変えることによって、センターシール部に微細な空隙を作り、袋のガス透過性を調節する方法です。

横型ピロー包装機のセンターシールローラーには、一方は平らで、片方は凹凸をつけた歯車が適用されています。

実際にパーシャルシールで個包装したニラと、従来の有孔フィルムで個包装したもので夏季の輸送シミュレーション試験が行われた結果を黄化、腐敗ともにパーシャルシール包装のもので発生率の低下が認められたとの報告もあります。

また、エチレン吸着剤をフィルムに練込み、青果物の追熟を抑えるタイプの包材が現在までに種々市場に出回っております。

追熟を抑制する包材

大谷石の微粉末をLDPEに練込んだフィルムが最初の製品で、その後、ゼオライト、クリストパライト、シリカなどを練込んだ製品が開発され、あしたが、これらのフィルムは、ガス透過度が元のLDPEフィルムより大きくなるので、ガス制御機能がある程度期待できます。

ところが、エチレン吸着については、吸着剤の練込み量からすると青果物、特に果実から出されるエチレンを除去する能力は少ないものと考えられ、現在、製品数は減り家庭用保存袋なども含め販売されるにとどまっています。

包装内に封入するタイプのエチレン吸着剤や除去剤の製品もあり、封入タイプの方が、フィルムタイプよりエチレン除去作用が大きくなります。

封入タイプとしては、ゼオライト、炭酸カルシウム、クリストパライトなどの多孔質微粉や活性炭の微粉などを使用する吸着タイプと過マンガン酸カリや臭素塩、パラジウム、鉄触媒を用いるエチレン分解タイプ、酵素によってエチレンを除去するタイプがあります。

鮮度を保持する包材

鮮度保持段ボールが、青果物や切り花の産地から消費地への輸送包装の梱包材として一般的に使用されており、予冷出荷されるものも多くあります。

この段ボールに鮮度保持機能や保冷機能をもたせた鮮度保持段ボールが各社から市場に出ていますが、構造としては、

①内装ライナーや外装ライナーに鮮度保持フィルムを挟み込んだタイプ

②ライナーに鮮度保持フィルムやアルミ蒸着フィルムをラミネートしたタイプ

③ライナーに特殊コーティングを施したタイプ

④段ボールと発泡樹脂を組み合わせたタイプ

⑤エチレンガス吸着剤を適用したタイプ

⑥抗菌剤を含浸させたタイプ

⑦これらのうちを組み合わせたタイプ

など、種々の製品が現在までに開発されました。

需要が高まるリサイクル性と抗菌効果

現在ではリサイクル性を重視し、シンプルな構造を持つ段ボールが主流となっています。この段ボールの目的とする機能は、保冷、環境ガス制御、調湿、エチレンガス吸着です。

また、ワサビやカラシが抗菌性のあることは古くから知られており、この抗菌活性は主として辛味成分であるイソチオシアネートによって発現するもので、最も含有量の多いアリルイソチオシアネートは、特に酵母、カビなどの真菌類、大腸菌などのグラム陽性菌に非常に高い効果を示します。

この抗菌効果は、溶液状態よりも蒸気状態の方が高いことが知られています。現在、PET/アリルイソチオシアネート含有層/PE構成のフィルムを弁当容器の内蓋としてPE側が食品側になるように被せて用いられたりします。

抗菌成分の蒸気は、PE層を通して食品側に達して抗菌効果が発揮され、また青果物の包装では、カット野菜やカット果物などの場合、細菌の影響を考慮する必要があり、このような抗菌フィルムを使用する方法も考えられています。